Tsukuba meeting
2003.10.12
SUNDAY
ついに実現?師弟対決


10月11日PM7:00天候:雨
仕事から帰りパスタを茹で食事をすませ、脱いだばかりのカッパに着替え単車で積車を
借りに行く。レーシングを置いてある裾野の生家についてから雨の止むのを待つが止む
気配がないので諦めて出発。
ピットクルーは僕の連絡が遅れたこともあり今回はゼロ。あてにしていた兄も風邪を
ひき万事休す。


深夜の空いている高速道路を走るが退屈でしょうがない。いつもは聞かないNHK-FMの
ラジオドラマに聞き入る。音楽よりも時間が経つのが早い。これはアリかも。


80kmくらいでゆっくり走るほうが人も車もラクチンなので4時間かけて現地に到着。
毛布に包まり、積車のシートで横になる。体が小さいことが幸いし、快適就寝。
1時間もしないうちに車が集まってくる。エンジンかけっ放しの積車のディーゼル音、
積車からエンジンかけて降ろす迷惑なヤツ。これらがひっきりなしに行われその度に
目が覚め、時計を確認して目を閉じて、を繰り返しながら朝を迎えた。
7時に受付を済ませるが、車は積車の上。焦ることはない。車検まで2時間ある。
それに外は雨だ。止むかもしれないからもう少し待とう。
車はぞくぞくとパドックに消えていく。76番のヨタだけ積車に取り残された。


10月12日AM8:00天候:雨
雨はやむどころかますます強くなる。諦めて長靴とカッパに着替え積車からレーシング
を降ろす。本来は押していくべきなんだけど一人で来ていたためやむなく自走でピットへ。
他の車は全て並んでいた。急いで荷物をピットに運び車検を待つことに。


予選は雨の中行われ、無理せずナラシを兼ねてゆっくり周る。8月のK4GPの時と同じく
窓が曇って走りにくい。とにかく慎重に、を心がける。


2343-w400.jpg10時を回ったあたりから雨は
あがり、A氏とN君が来たので
早速お手伝いを依頼。
濡れたボディをくまなく拭いて
もらいました。ありがとう。


S65レースは排気量によって2クラスに分かれます。
1300cc以下のクラス1、1300cc以上がクラス2となっているので
ヨタハチはもちろんクラス1。同じクラスのライバルはホンダのエスロク、オースチン
スプライト、ルノーR8ゴルディーニと多彩な顔ぶれ。一台づつ予選結果順に紹介します。


AUT_2350-w400.jpg旧い箱車とあなどるなかれロータス
コルチナは立派なスポーツカー
なのです。雨の滑りやすい路面を
克服し、ポールポジションをゲット。


AUT_2349-w400.jpg日本代表の箱スポーツカーといえば
スカイライン。6気筒ツインキャブの
54Bこそ元祖羊の皮を被った狼。
ヒツジ?いやいや風貌もすっかり
オオカミですよ。


AUT_2353-w400.jpgクラス1なのにクラス2をカモるのが
このオースチンヒーレースプライトMk-2
MGミジェットの兄弟車なのでスプリジェ
ットなんて言われたりします。
それにしても速いのでヨタと勝負にならん。


AUT_2354-w400.jpgもはやS65クラスには欠かせない
存在になっているルノーR8
ゴルディーニ。リア駆動で
ハの字は両サイドが浮くほど。
こんな恐ろしいマシンで筑波を
走るのだからすごい。


AUT_2351-w400.jpgこのカニみたいなトライアンフTR−4
がまた速いのだ。メッキパーツが
まぶしいっ。


AUT_2355-w400.jpgホンダのエスロクが予選でここに
食い込んできました。日の丸カラー
のホンダF1のイメージがいいね。
ホイールを見ると5穴が4穴の
ハブになっていることから
なにかやってありそうですな。


AUT_2356-w400.jpgでた〜ジャガーMk-2。
ダークグリーンの車体にワイヤー
ホイール。ゆったりセダンの
ように見えますが毎回参戦し、
熟成されてきています。
大排気量車ならではの加速を
生かせるかがポイントです。


AUT_2352-w400.jpgもう一台のコルチナはメッキグリルで
ブリティッシュホワイトにグリーンの
ストライプ、と当時のコルチナレース
カーそのものです。
車内は荷物が沢山入って便利だろ
うなぁ、と思うのは僕だけか?


2347-w400.jpg緑のジャガーに誘われて?僕の
レーシングと同期参加の
ジャガーMk-2。
車体の美しさはなにより車内も
豪華で目が行きますね。
筑波は狭く感じることでしょう。


2348-w400.jpgトージローの再来か?
まんま船橋東次郎モデルのDさんの
ヨタハチレーシング。
今までは雰囲気重視でダンロップの
G5を履いていましたが今回Sタイヤ
を履き足元が引き締まりました。
また塗りなおした軽めのシルバーと
ホワイト&チェッカーのストライプ
が本当に決まってる!もうDさんに
完敗です。カッコ良すぎですもん。


AUT_2359-w400.jpgで、ようやく登場、管理人の青ヨタR
この華やかな車たちの中にあっては
地味にみえるのが不思議。
もうすこししたら色で遊んでみる事も
考えてみます。



AUT_2357-w400.jpg富士フィナーレ参加時のカラーリング
そのままに参加の元86番ポンコツおじ
サム号。
今日は絶対完走が命題となっており
勝負はしないとのこと。しかもドライバー
はスポーツの要となる体の部分を故障
しており参戦も危ぶまれたほど。
しかし奥様の介護をうけチームみんなで
ドライバーをサポート。
これも旧車レースならでは。


AUT_2358-w400.jpgとってもキレイなエスロクが登場。
このサイズの参加者が増えると見て
いて楽しいね。完成したばかりのよ
うで抑え目に走っていました。
今後の熟成が楽しみですね。 


AUT_2360-w400.jpg最後尾はお初にお目にかかるスプライトMk-1。
通称カニ目です。かわいらしい顔つきの
わりにMk-2と同じく恐ろしく速いのです。
でもこの車はなぜか優しそうに見えた。


2361-w400.jpgなぜなら沢山の虫に好かれていたからだ。
黄色いカラーは花か蜜に見えたのか?
甘いにおいがしたのでしょうか。
と考えていたら僕の緑色レーシングスーツ
にも大量の小虫が!前日に車中泊でフロ入
ってないからフェロモンという名の汗が気
に入られたのかもしれぬ。 


本戦まで時間があったので他のレースを観戦。

2371-w400.jpg同じクラブSTING浜松でエントリーの
Y田ミニレーシング。この車の色が
すごく好きで、僕のレーシングはこの
色を元にしているのでした。本戦前、
緊張感ないぞ〜



2372-w400.jpg同コースに向かう姿を見届ける。
この時はこれから起きることなど、
想像もできなかった。


2373-w400.jpgPS68/75レーススタート。
ポルシェに先行を許すがコーナー
リングの速さでしぶとく食らいつ
いていく。



途中から12番ミニのペースが下がり始めた。中盤に同じクラスのエスハチに1コーナーで
さされる。なにかおかしい、そのうちコース上に姿が見えなくなった。焦る気持ちが心臓の
高鳴りにかわる。レース終了後、救急車がコースに出る。心配していたことが現実となった。
ミニが2ヘアピン進入でクラッシュしたのだ。幸いドライバーは軽いムチウチで済んだが気
持ちの落ち込みようは計り知れない。掛ける言葉がみつからない。だって他人事ではないの
だから。この出来事から僕の体にも異常が起き始めていた。



 ・メンタル弱いんです。
これまで色々なレースに参戦してきたけれどあまり怖いという感情は感じなかった。
多少は感じてもヨタハチと走る喜びとちっぽけな優越感でレースをナメていたからかもしれ
ない。クラシックカーレースにながく参戦されている方ほど、このレースはお遊びなんだと
言う。その言葉を真に受け貴重な車たちだからある程度は遠慮しながら走っているものだと
思っていた。結局僕はその言葉の意味が分かっていなかったのだと思う。
出走前のメディカルチェックで血圧を測ったら医師の声に耳を疑った。


「ちょっと高いですね」

え?今なんて?普段朝目ざめが悪く、風呂上りには貧血気味になる僕に向かって血圧が高い
だって?そんなバカな。・・・そこではっとした。さっきから心拍数が異常に高い。
胸が痛いくらいに心拍が高まっているのに気付き深呼吸を繰り返す。医師がもう一度計り、
「まあ、大丈夫ですね」と判を押す。医務室を出たあとピットで椅子にもたれ皆に悟られぬ
よう帽子を顔の上にのせ目を閉じ深呼吸を繰り返す。ゆっくり落ち着かせるように・・・。
気付き始めていたけれど認めたくなかったもの。それは恐怖心。気負いから来る武者震いで
はない。心臓がレッドゾーンで頭打ちをしている感じだ。これではレースに集中どころでは
ない。楽しむ余裕まではほど遠い。落ち着こうとエアゲージ片手に車に向かう。
ドライコンディションになったので圧を下げる為だ。
ドライバーズブリーフィングの最中、コース上ではハチロクチャレンジが行われていた。
落ち着く為に見ないようにした。耳栓もしたいくらいだった。



 ・勝負あり?
よく言われる言葉に「勝負は走る前から決まっていた」があるがそんなメンタル部分は今ま
で信じてなかった。結局は車の性能でしょ。と。まさか自分で実践することになろうとは夢
にもおもわなかったわけで・・・
本戦がはじまり、車を並べ一周のウォーミングアップのあとコース上でエンジンを切るのだ
がオフィシャルに指示されるまで忘れていた。まさにプチパニック状態。シグナルが変わり
一気にDさんを抜き1コーナーに飛び込む。レースが始まってしまえばなんとかなる。この
まま走ればパワーに勝るこの車なら同じヨタハチに負けることは無いはずと自分に言い聞か
せていた。ところが1ヘアピンを4速のまま突っ込む痛恨のシフトミス。かるがると9番ポ
ンコツおじサムにパスされる。立ち直り後ろに張り付くが抜けない。コーナーで離されて立
ち上がりで追いつく。車は悪くない、著しく乗り手が乗れていないのだ。しばらく前方の9
番を追う展開が続いた。あちらはレース参戦開始から20年近く経つ車と絶対完走の為に、
7000rpmキープとあちらの
ハンデはいくつもある。それでもコーナーリングワークは圧倒的に分があった。最終コーナ
ーを4輪滑らしてインへもっていく芸当はとてもじゃないがまね出来ん。やればデビュー戦
の再来よろしく大スピンして今度こそクラッシュだ。前回のスピンもトラウマになってか最
終コーナーを攻めきれずにストレートエンドで追いつく走行を繰り返していた。



 ・東次郎が後ろに!
「いいひと」を形にしたらDさんだった。というくらい温厚なDさん。今回はおろしたての
Sタイヤでの参戦に「まだむいていないからタイムは出ないと思うよ」とのコメントがあり、
実は安心しきっていた。
スタート後にエンジンがふけにくくなり後退していたので僕にとっては前を行くポンコツお
じサム号を追うだけだと思っていた。・・・がしばらくしてバックミラーに銀色のヨタの姿
を捉えはじめそれがどんどん大きくなることに焦りは頂点に達した。8周目の1ヘアピンで
ぴったり後ろに張り付かれ立ち上がりでなんとかかわし・・・を繰り返すがDさんのコーナ
ーリングはまるで東次郎が乗り移ったかのようにこちらを抜くチャンスをうかがっている。
フェイスマスクの内側を汗がとめど
なく流れ、目に入りしみてしまう。体温が荒れる息遣いによって上昇しつづける。
10周目を過ぎトップから周回遅れをされ始めるあたりで前を行くポンコツおじサムのブレ
ーキから煙が!ふらついていたのでここで抜くべしとアクセルを一気に踏んだら
・・・回りました。
止まるようなスピードでコーナー内側で止まり、トップグループの車両がうまく僕を避けて
くれていってくれた。
出走前にスピンした場合はすぐにクラッチを切って回っている間に1速に入れておくべしと
ポンコツおじサムからアドバイスを受けていたが聞くのとやるのでは大違い。実際は即座に
ストールし、右足は凍りついたようにブレーキを踏んでいた。再スタートし前を行く20番
を追うがはるか前方だ。しかし不思議なことに落ち着くことができた。今までの焦燥感は無
く、ただ前を見て走ることができていた。1ヘアピンをぬけダンロップにさしかかると前方
に緑ジャガーが白煙噴いてグリーンへ退避しているところだった。エンジンルームが火を噴
き、オフィシャルが消火器をもって走っている。ただでさえ終盤のレースであちこちオイル
がまかれていて、滑りやすくなった状態でのアクシデント。次の周にスロットルを弱めに入
れたにもかかわらず滑ってしまいペースを落とす事を余儀なくされた。しかしそんな自分の
姿をあざけ笑うかのようにゴルディーニが抜いていった。
ただでさえ滑りやすいRRを全開でねじ伏せていく。この人達はハンパじゃない。本当にすご
い世界だったんだとあらためて気付きました。それでもなんとかDさんの20番を追うが、
時既に遅し。チェッカーが振られてしまいました。
最後のウイニングラン?のとき、Dさんの20番に並びお互い手を上げ健闘を称えました。
各ポストのオフィシャルが手を振っている。感謝の意味を込めて振り返す。全力をだしきっ
て争ったあとはいつもの旧車仲間に戻る。これが楽しみの一つ。


「このレースはあそびだからね」
この言葉が自然に出るような経験を積み挑戦し続けていこうと思う。


 最終結果  クラス1
順位 車番 車名
1位 77 ヒーレースプライトMk-2
2位 21 R8ゴルディーニ1100
3位 ポンコツおじサム トヨタS800
4位 20 四葉オートDさん トヨタS800
5位 76 管理人けんいち トヨタS800
6位 59 ヒーレースプライトMk-1
7位 67 S600クーペ


おしまい。

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